
システム開発の現場では、設計や要件定義の曖昧さが後工程の混乱を引き起こし、開発の非効率化に繋がってしまうことが多々あります。そんな課題を解決するために誕生したのが「GEAR.indigo」です。
本ツールは、上流工程に特化し、AIの力を活用して設計や見積もりを効率化することで、スムーズなシステム開発を実現します。この記事では、その特徴や導入メリット、開発者の思いに迫ります。
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設計工程を変革するAIツール - GEAR.indigoがもたらす新しい開発のかたち
—— GEAR.indigoは、上流の設計部分をAIでサポートするツールという認識で合っていますか?
はい、その認識で合っています。GEAR.indigoは、いわゆる要件定義や設計といった「上流工程」に特化しており、従来の開発ツールでは対応しきれなかった初期設計フェーズの支援を目的としたツールです。
AIを活用することで、プロジェクトの初期段階に必要な設計情報を自動で整理・統合し、後の工程でもブレない基盤を提供できるように設計されています。
—— 一言でいうと、GEAR.indigoは誰の、どんな悩みを解決するツールですか?
GEAR.indigoは「システムをゼロからしっかりと作り上げたい人」のためのツールです。具体的なユーザー像を限定しているわけではないものの、特徴的なのは“構想段階から全体を見通した設計を行いたい”というニーズを持った方にフィットする点です。
現在の多くのツールは、リッチなモックアップを素早く作ることはできても、開発が進むにつれて複雑化した設計の統合が困難になり、結果としてバグの温床になるケースが少なくありません。GEAR.indigoはそのような“作り込みすぎて崩れてしまう”構造的な問題を防ぐため、「最初に全体の設計図をしっかり描く」ことを支援します。
また、設計フェーズだけでなく、将来的にはソースコード生成や他ツールとの連携(エディター系やクライアント向けのプロジェクト管理ツールなど)も見据えており、「スケーラブルで長く使えるシステム開発」を実現するための基盤としても活用できる設計思想になっています。
他ツールとの違い - 上流工程に特化した独自の強み
—— 他のツールと比較すると、GEAR.indigoは上流工程に特化したツールという理解でよいですか?
はい、まさにその通りです。一般的なAI開発ツールは、「画面を簡単に作れる」「設計から実装までワンストップでできる」といった“全工程対応型”のものが多い印象です。ただし、それらのツールでは上流工程、特に要件定義や全体設計の部分がかなり粗く扱われがちで、後々の工程でズレや破綻が生まれてしまうことがよくあります。
GEAR.indigoはその課題にフォーカスし、「最初の設計が曖昧だと、全体の品質や進行が損なわれる」という問題を根本から解決するためのツールとして開発されました。つまり、“土台から固める”ことに力を入れている点が、他のツールとの最も大きな違いです。
—— 他のツールを使ってうまくいかなかった方が、GEAR.indigoを使うことが多いのでしょうか?
実際には、他のツールでつまずいてから乗り換えるというよりも、「もともと上流工程の業務を日常的に行っていた方」がGEAR.indigoにたどり着くケースが多いです。たとえば、Webの受託開発をしている企業やSIer(システムインテグレーター)に勤めている方々です。
そうした人たちは、普段から顧客と要件のすり合わせを行い、それをドキュメント化し、設計に落とし込むという作業をしています。そのプロセスを「もっと精度高く、もっと早く、もっと再現性高くできないか」と模索する中で、GEAR.indigoを見つけ、導入するという流れが多く見られます。
言い換えれば、「要件定義を仕事として当たり前にやっていた人たち」がAIを活用することで、設計の質とスピードの両方を高めようとしているという背景があるわけです。
導入企業の傾向 - 要件定義を重視するプロフェッショナルの支持
—— GEAR.indigoを導入する企業の多くは、もともと設計を職務としていた方が多いのでしょうか?
はい、導入いただいている企業や個人の多くは、もともと上流工程に関わってきた方々です。Web系の受託開発会社や、NTTデータのようなSIer出身者など、クライアントと直接やり取りをして、要件定義や仕様設計を行う業務に携わってきたプロフェッショナルが中心です。
彼らは、業務として「ドキュメントを整える」「ヒアリングをして仕様を落とし込む」といった作業を日常的にこなしており、その部分の効率化・精度向上にAIを活用したいという明確な課題意識を持っている傾向があります。
—— 実際に導入した企業は、どのような点にメリットを感じていますか?
最もわかりやすく、導入後に評価されているのは「見積もり」と「初期提案」の場面です。
GEAR.indigoでは、要件定義書や設計書を生成できるだけでなく、機能一覧や画面一覧を一括で自動生成し、それを基にAIが工数や費用をボトムアップで算出してくれる機能が搭載されています。
この機能が活躍するのは、まさに提案段階です。通常、見積もり作業というのは時間と労力を要しますが、GEAR.indigoを使えば「提案に必要な設計資料と概算見積もり」を極めて短時間で提示することが可能になります。特に受託開発の現場では、提案が通るかどうか不確定な中で見積もりに時間をかけるのは非効率です。その点で、「提案が無駄になっても痛くない」スピード感は大きな武器になります。
また、見積もりだけでなく、初期提案の中で「もうここまで設計が進んでいます」と提示できることで、クライアントとの共通認識を早い段階で形成できます。プロジェクト開始後の要件ブレを防ぎ、後戻りの少ないスムーズな進行を実現できるため、特に法人案件では強い信頼につながっています。
AIによる見積もり機能 - スピードと正確性の向上
—— 設計図が事前に決まっていることで、開発がスムーズになるということでしょうか?
はい、完全に「やるだけの状態」になるわけではないものの、それにかなり近い状態を作ることはできます。GEAR.indigoでは、提案段階で既に設計のアウトラインが提示できるため、プロジェクト開始後に改めて要件定義に長時間を割く必要がなくなります。
クライアント側との共通認識を事前に形成できることで、開発中のコミュニケーションがスムーズになり、結果として手戻りが減少します。従来のように「開発が進んだ後に方向性がズレていたことに気づく」といった事態を避けられるのです。
—— 見積もりが一瞬で出るという機能について、どのような基準で算出されているのか教えてください。
GEAR.indigoは、AIが機能ごとの難易度を自動で判定し、それに応じて工数を算出する仕組みになっています。たとえば、あるシステムで「ログイン機能」「顧客登録機能」「AIによる選別機能」が必要だったとすると、それぞれの機能がどれだけ複雑かをAIが分析します。
ログインや登録といった一般的な機能は難易度が低く設定される一方で、AIによる分析処理などは高難度とみなされ、それぞれに適切な工数が割り当てられます。そして、その合計から見積もり金額がボトムアップ式で算出されるのです。
このロジックにより、従来属人的に行われていた見積もり作業を標準化・自動化でき、誰が使っても一定水準以上の見積もりが出せるようになります。

—— AIによる見積もりの精度はどの程度ですか?
実際に使ってみると、「思っていたよりもちゃんと判定している」と感じるケースが多いです。AIによる難易度判定は、開発経験に基づくパターンをもとにしているため、特に標準的なWebシステムではかなり実用的な精度を発揮します。
もちろん、企業ごとに開発単価は異なるため、最終的な調整は人間が行う必要があります。GEAR.indigoは「AIがドラフトを作り、人間がそれを微調整する」という運用を想定しており、あくまでも支援ツールとしての使いやすさを追求しています。
この思想により、「スピードと精度のバランスが取れた見積もりプロセス」が実現できるようになっています。
エンタープライズ向けプラン - セキュリティ面での配慮
—— 企業向けプランを作られたと聞きましたが、導入企業がGEAR.indigoを選ぶ理由は何ですか?
導入の決め手としてもっとも大きいのは「セキュリティへの配慮」です。GEAR.indigoには、個人や小規模事業者向けの「コンシューマー版」と、企業内でより厳密な運用が求められる「エンタープライズ版」の2つの提供形態があります。
特にエンタープライズ版では、顧客の要望に応じて「自社内での完全なデータ管理」を実現できるように設計されており、これが多くの企業に選ばれる理由になっています。

—— エンタープライズプランでは、セキュリティ面でどのような工夫がされていますか?
多くの企業が懸念するのは、「自社の設計情報や顧客情報が外部のクラウドに保存されること」です。GEAR.indigoのエンタープライズ版では、その点を解決するために「セルフホスティング」という運用形態を採用しています。
—— セルフホスティングとは何ですか?
自社サーバー上にシステムを設置・運用する形態を指します。クラウドサービスではベンダーのサーバーにデータを預ける必要がありますが、セルフホスティングでは「サーバーもデータベースもすべて社内にある」状態を作ることが可能です。
たとえば、「自分のPCにしか入っていないアプリをローカルで使っている状態」をイメージするとわかりやすいかもしれません。企業が自社でインフラを用意し、そこにGEAR.indigoを導入することで、データは一切外部に出ることなく、完全にクローズドな環境で開発支援が行えます。
セキュリティ要件の厳しい大手企業や官公庁にとって、この運用形態は非常に大きな安心材料となっており、実際に複数の企業でこのモデルが採用されています。
目指す未来 - 日本発の開発手法を世界標準へ
—— GEAR.indigoをより多くのシステム開発企業に導入してもらうための展望はありますか?
今後、AIを使った開発ツールが当たり前になっていく中で、GEAR.indigoは「誰が使っても、ある程度の品質で設計ができる」状態を目指しています。
開発者はたくさんいますが、その多くが実装や下流工程に集中しがちです。GEAR.indigoは、そうしたエンジニアにとっても、上流工程に踏み出しやすくする“土台”のような存在でありたいと考えています。
AIがサポートすることで、要件定義や設計が属人化せず、再現性のある業務プロセスとして社内に定着していく。それが広がれば、開発の質は自然と底上げされていくと信じています。
—— 最終的な目標は何ですか?
目標は、「日本発のウォーターフォール型開発を、AIの力で進化させ、世界のスタンダードにすること」です。ここ数年でアジャイル開発が注目され、より柔軟でスピーディーな開発が求められるようになりましたが、実際には「曖昧な設計のまま開発を進めてしまい、軌道修正が効かない」という課題が現場に多く残っています。
アジャイルは確かにスピード感に優れていますが、目的やゴールが明確でないと、ただ進めるだけになってしまうこともあります。その点、ウォーターフォールはしっかりと設計を行う前提があるため、本来は「精度の高い開発」に向いています。GEAR.indigoでは、そのウォーターフォール的な設計文化をベースに、AIを組み合わせてスピードと柔軟性を加えた“新しい形”を提案しています。
—— 日本発の開発手法を世界に広げていきたいということですね?
そうですね。いまの日本の開発者は、どうしても海外のプロダクトに触れて「すごいな」と消費者目線で受け止めてしまいがちです。でも、設計の丁寧さや品質へのこだわりといった日本の強みを、AIと掛け合わせることで「世界に通用する開発スタイル」として広めていける可能性はあると思っています。
GEAR.indigoはそのための一歩として、「AI時代における日本式の設計思想」を世界に提示する存在になれたらと願っています。

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