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【IIJ流】開発リーダーが明かす「もう手放せない」生成AI実務活用術4選──エンジニアの「本質」を取り戻すための改革論

【IIJ流】開発リーダーが明かす「もう手放せない」生成AI実務活用術4選──エンジニアの「本質」を取り戻すための改革論
2025年12月19日 15:252025年04月03日 16:34
エンジニア
レベル★
AIツール使い方
AIエージェント
業務プロセス改善
ソフトウェア開発
IT利活用
この記事でわかること
  • IIJにおける生成AI活用実例
  • 4つのAIツールの使い分け
  • 開発現場が変わった本質
この記事の対象者
  • 開発マネージャーやTechLead
  • DX推進を担うIT部門
  • AI導入に悩むエンジニア組織
効率化できる業務
  • 定型コーディング工数を約50%削減
  • エラー調査・検索時間を約60%短縮
  • 仕様書・文書作成を約40%省力化

「生成AIを導入したけれど、現場では『ただの便利な検索ツール』止まりになっていないか?」 「経営層は『生産性向上』と叫ぶが、現場のエンジニアはいまいち腹落ちしていないのではないか?」

今、多くの企業のDX推進担当者や開発マネージャーが、こうした「AI導入の壁」に直面しています。ニュースを見れば毎日新しいAIツールが登場し、「革命だ」「激変だ」と騒がれています。しかし、足元の開発現場を見渡せば、相変わらずバグ修正に追われ、ドキュメント作成に忙殺され、「AIなんて触っている暇がない」というエンジニアの声が聞こえてきそうです。

なぜ、温度差が生まれるのでしょうか。それは、「具体的な使い所」と「エンジニアとしての喜び(メリット)」がリンクしていないからです。

今回は、日本のインターネットを支え続ける株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ)で、ネットワークマネジメントサービスの開発リーダーを務める藤本椋也氏の実践例を、徹底的に深掘りします。彼は単にツールを使っているだけではありません。自らが「もう手放せない」というレベルまで使い倒し、その熱量と実績をもって、社内へのGitHub Copilot導入まで主導しました。

本記事では、彼が愛用する4つのツールの具体的な活用法はもちろん、それによって開発現場の「何」が変わり、エンジニアの働き方がどう進化したのか。そのリアルな実態を、明日から真似できるレベルで詳細に解説していきます。

第1章:開発現場のリアルな悩みと、AIがもたらす「解」

エンジニアを疲弊させる「雑務」の正体

そもそも、現代のエンジニアは忙しすぎます。 「エンジニア=コードを書く人」と思われがちですが、実際の実務において、純粋に創造的なロジックを組んでいる時間はどれくらいあるでしょうか。

  • 既存コードの調査と理解
  • 単純なボイラープレート(定型)コードの記述
  • エラーログの調査と、Google検索結果の往復
  • 仕様書やAPIドキュメントの作成・更新
  • 会議の議事録確認や、社内ルールの検索

これら「付帯業務」が、エンジニアの貴重なリソースを食いつぶしています。藤本氏のような開発リーダーの視点で見れば、チームメンバーがこうした作業に忙殺され、本来向き合うべき「ユーザー体験の向上」や「堅牢なアーキテクチャ設計」に時間を使えていない状況は、大きな課題だったはずです。

AIは「魔法の杖」ではなく「優秀な相棒」

ここで登場するのが生成AIです。しかし、藤本氏のスタンスは非常に現実的です。AIを「全自動でプロジェクトを完遂してくれる魔法の杖」とは捉えていません。

彼が見出したのは、AIを「優秀な相棒(Copilot)」として隣に座らせるというスタイルです。 面倒な下調べ、定型コードの入力、ドキュメントの素案作成。これらを相棒に任せることで、エンジニアは「最後の判断」や「クリエイティブな思考」という、人間にしかできない領域に脳のCPUをフルコミットできるようになる。これが、IIJの現場で起きている変化の本質です。

第2章:開発リーダーが愛用する「4種の神器」徹底解剖

藤本氏は、たった一つのAIツールですべてを解決しようとはしていません。それぞれのツールの「得意分野」を見極め、4つのツールを明確に使い分けています。この「適材適所」の戦略こそが、業務効率を最大化する鍵です。それぞれの活用術を、具体的なシーンと共に見ていきましょう。

1. GitHub Copilot:開発の相棒(もう手放せない)

藤本氏が「これだけはもう手放せません」と断言するのが、Microsoft傘下のGitHubが提供するAIコーディング支援ツール、GitHub Copilotです。 多くのエンジニアにとって、これはもはや「ツール」という枠を超え、身体の一部になりつつあります。では、具体的にどのようなシーンで役立っているのでしょうか。

① 「思考の速度」でコードが書ける

従来のコーディングは、「頭の中でロジックを組む」→「指を動かしてタイピングする」というプロセスでした。しかしGitHub Copilotを導入すると、関数名やコメントを少し書いただけで、AIが「あなたが書きたいのはこういう処理ですよね?」と、続きのコードを数行、時にはブロック単位で提案してくれます。 エンジニアはTabキーを押して「採用」するだけ。タイプミスも減り、単純作業のストレスから解放されます。藤本氏が「手放せない」と言うのも頷けます。思考のスピードに、タイピング(実装)が追いついてくる感覚です。

② コードレビューの「一次請け」を任せる

IIJの事例で特筆すべきは、コードレビューの効率化です。 通常、他のメンバーが書いたコードをチェックする(レビューする)作業は、リーダーにとって大きな負担です。バグがないか、コーディング規約を守っているかを目視で確認するのは神経を使います。 ここでCopilotの出番です。AIがリアルタイムでコードを解析し、「ここに潜在的なエラーの可能性があります」「この書き方は冗長です」といった改善点を提示してくれます。人間がレビューする前にAIが「一次チェック」を済ませてくれるため、レビュー担当者はより本質的な設計の妥当性などに集中できます。バグ修正の初動が早まり、手戻りが激減するのは言うまでもありません。

③ テンプレート作成と「業務標準化」

「API接続の処理」や「ログ出力の記述」など、開発には「毎回同じように書くけれど、ゼロから書くのは面倒」な定型処理(テンプレート)が山ほどあります。 Copilotはこれらを自動的に補完してくれるため、チーム内での記述の揺らぎが減ります。結果として、「誰が書いても読みやすいコード」になり、業務の標準化が自然と進むのです。個人のスキル差をAIが底上げし、品質を均一化してくれる効果も見逃せません。

2. ChatGPT:思考を整理する「壁打ち相手」

コードを書く前の段階、「何をどう作るか」を考えるフェーズで活躍するのがChatGPTです。藤本氏はこれを「思考を整理するための壁打ち役」として活用しています。

誰かに話すと整理される「ラバーダッキング」の進化版

エンジニアの世界には「ラバーダッキング(ゴムのアヒルちゃんに話しかける)」というデバッグ手法があります。詰まった時に、机の上のアヒルのおもちゃに状況を説明していると、自己解決するというものです。 ChatGPTは、この「アヒルちゃん」が超絶優秀になったバージョンと言えます。 「こういう機能を実装したいんだけど、A案とB案どっちがいいと思う?」 「この設計の懸念点はどこにある?」 そう問いかけると、AIは客観的な視点でメリット・デメリットを整理して返してくれます。

対話から生まれる「気づき」

藤本氏が「対話形式でのやりとりの感触が一番好き」と語るように、ChatGPTの真骨頂は「ラリー」にあります。 AIの回答が少しズレていれば、「いや、そういうことじゃなくて、セキュリティの観点でもっと深く教えて」と追加で指示を出せばいいのです。人間相手だと「何度も聞くのは悪いな」と遠慮してしまうような場面でも、AI相手なら納得いくまで何度でも壁打ちができます。このプロセスを経ることで、自分の中にあるモヤモヤとしたアイデアが言語化され、構造化されていく。これは生成AI特有の体験です。

3. Perplexity:検索の「新常識」

「ググる(Google検索)」という行為が、今、劇的な変化を迎えています。藤本氏がGoogle検索の代替として、利用頻度を急増させているのがPerplexity(パープレキシティ)です。

「探す」から「答えを得る」へ

従来の検索行動を思い出してみてください。

  1. キーワードを入力する
  2. 検索結果の上位に並ぶ記事のタイトルを見る
  3. いくつかのタブを開く(広告が多い記事にイライラする)
  4. 長文の中から、必要な情報が書かれている箇所を目で探す
  5. 複数の記事を見比べて、情報の正しさを判断する

これは非常にコストの高い作業です。しかしPerplexityは違います。質問を投げかければ、信頼できる複数のソースをAIが読み込み、統合して「答え」を直接生成してくれます。 「ちょっとしたツールの使い方などを調べる時、ブログを見に行くよりも早くて便利」と藤本氏は語ります。

エンジニア特有の「エラー調査」に効く

特にエンジニアにとって、見慣れないエラーメッセージの調査は日常茶飯事です。Perplexityにエラーログを貼り付ければ、「このエラーの原因は〇〇のバージョン不整合の可能性があります。以下のコマンドで解決できます」と、解決策(コマンド付き)まで提示してくれます。 情報収集の時間が「分」単位から「秒」単位に短縮される。1日何度も行う検索だからこそ、この積み重ねが圧倒的な業務効率化に繋がります。

4. Microsoft 365 Copilot:社内の「知恵袋」

最後の一つは、最近IIJ社内でも利用可能になったというMicrosoft 365 Copilotです。 ChatGPTやPerplexityは「インターネット上の情報」には強いですが、「社内の会議室の予約方法」や「先週のプロジェクト定例での決定事項」は知りません。

「あの資料、どこだっけ?」からの解放

企業にとって最大の資産であり、同時に検索困難なのが「社内データ」です。 Teamsのチャットログ、SharePoint上の膨大なドキュメント、Outlookのメール履歴。これらの中に埋もれた情報を探すために、私たちはどれだけの時間を使っているでしょうか。 Microsoft 365 Copilotは、社内のデータを横断的に検索し、回答してくれます。 「Aプロジェクトの進捗について、最新の議事録から要点をまとめて」 「来期の予算申請フォーマットはどこにある?」 こうした問いに即座に答えてくれるため、社内Wikiを彷徨う時間がなくなります。藤本氏も「だんだんと依存度が上がっている」と語っており、今後企業のナレッジマネジメントにおいて、なくてはならない存在になるでしょう。

第3章:導入で見えた「本質的な変化」とチームへの波及効果

これら4つのツールを駆使することで、IIJの現場では一体何が変わったのでしょうか。単なる「時短」以上の価値が、そこにはありました。

1. 「人間がすべき仕事」への回帰

最大の成果は、「単純作業からの解放」と「コア業務への集中」です。 例えば、「ユーザーログイン機能を実装する」といった汎用的な機能は、AIが一瞬で土台を作ってくれます。また、コードを書いた後に待っている「仕様書の作成」という、多くのエンジニアが苦手とする作業も、AIがコードを読み取って「タスク仕様書の文書化」を補助してくれます。

これにより、エンジニアは空いたリソースをどこに使うのか。 それは、「より複雑なアーキテクチャの検討」や「ユーザーにとって心地よいUI/UXの追求」、そして「新しい技術の習得」です。機械ができることは機械に任せ、人間は人間にしか生み出せない価値に集中する。これこそが、DX(デジタルトランスフォーメーション)のあるべき姿ではないでしょうか。

2. チーム全体の「基準」が上がる

GitHub Copilotのようなツールをチームで導入することで、「業務標準化」が進みます。 ベテランも若手も、AIの支援を受けることで一定レベル以上のコード品質を担保しやすくなるからです。また、AIが生成するコードは、一般的に広く使われている「ベストプラクティス」に基づいていることが多いため、独りよがりな変なコード(スパゲッティコード)が生まれにくくなります。 「誰か特定のすごい人」に依存する属人化を脱し、チーム全体として開発スピードと品質を底上げできる。これは組織にとって計り知れないメリットです。

3. リーダーの熱量が「文化」を作る

IIJの事例が成功している背景には、藤本氏のような現場のリーダーが、自ら率先して使い倒していることがあります。 「上から言われたから使う」のではなく、「リーダーが『これめっちゃ便利だよ!』と楽しそうに使っている」。この姿こそが、チームメンバーに「自分も使ってみようかな」と思わせる最強の動機づけになります。 新しいツールを定着させるのは、マニュアルでも研修でもなく、「隣の席の人の熱狂」なのです。

第4章:これからAI活用を目指すリーダーへのQ&A

ここまで読んで、「うちでも導入したいが、懸念もある」と感じている方もいるでしょう。よくある疑問に対して、IIJの事例や一般的なAI活用の知見を交えて回答します。

Q1. 生成AIに頼りすぎると、若手エンジニアのスキルが育たないのでは?

A. 「写経」の質が変わり、むしろ成長スピードは上がります。 かつては先輩のコードを見て盗むのが修行でしたが、今はAIが「なぜこのコードなのか」まで解説してくれます。AIが出したコードをただコピペするのではなく、「なぜこう動くのか?」をAIに質問しながら理解を深めることで、独学よりも遥かに効率的に学習できます。 ただし、AIが嘘をつく(ハルシネーション)可能性はあるため、「AIの回答が正しいか判断する基礎力(目利き力)」を養う教育や、人間によるコードレビューのプロセスは、これまで以上に重要になります。

Q2. セキュリティ面での懸念(情報漏洩)はどう解消すべき?

A. 法人版(Enterprise版)の契約が必須です。 無料版のツールでは、入力したデータがAIの学習に使われてしまうリスクがあります。しかし、GitHub Copilot for BusinessやChatGPT Enterpriseなどは、入力データが学習に利用されないことが規約で明記されています。 IIJでも、社内のAI活用WG(ワーキンググループ)が規約精査やガイドライン整備を行い、安全に利用できる環境を整えています。ツール導入とセットで、「入力して良い情報・悪い情報」のルール策定を行うことが不可欠です。

Q3. チーム全員に使ってもらうためのコツは?

A. 「業務効率化」という言葉を使わないことです。 エンジニアに対して「会社の生産性のために」と言っても響きません。そうではなく、「面倒な日報作成が3分で終わるよ」「あのバグ調査が半分になって、早く帰れるよ」といった、個人のメリット(ご利益)を具体的に伝えるのがコツです。藤本氏のように「もう手放せない」という実感を共有することが、普及への近道です。

第5章:まとめ──まずは「一本」試してみることから

IIJ・藤本氏の活用術は、決して魔法のような話ではなく、非常に地に足の着いたものでした。

  1. 書く作業は、GitHub Copilot という「相棒」に任せる
  2. 考える作業は、ChatGPT という「壁打ち相手」と深める
  3. 調べる作業は、Perplexity という「賢い司書」に聞く
  4. 社内のことは、Microsoft 365 Copilot という「知恵袋」に頼る

いきなり全てを導入する必要はありません。まずはこの中のどれか一つでも、自社の業務、あるいはあなた自身の業務に取り入れてみてはいかがでしょうか。

例えば、Perplexityの無料版で、今日のエラー調査をしてみる。 ChatGPTに、書きかけのメールの推敲を頼んでみる。

「あ、これ楽だわ」「もう手放せないな」。 その小さな感動を現場のリーダーが味わった瞬間から、あなたの組織のDXは本当の意味で動き出すはずです。AIは、仕事を奪う敵ではありません。私たちが「人間らしく働く」ための時間を返してくれる、最強の味方なのですから。

引用元

ITmedia AI+「IIJのエンジニアは生成AIを業務にこう役立てる」

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