
2023年7月に設立されたAI企業Sakana AIが、わずか1年余りで企業価値10億ドル以上のユニコーン企業に成長し、世界中から注目を集めています。Google出身の天才研究者たちが立ち上げたこの日本発のスタートアップが、なぜこれほどまでに急成長できたのでしょうか。
AROUSAL Techの代表を務めている佐藤(@ai_satotaku)です。 Sakana AIなんて、可愛い名前ですね。笑 そんな名前のAIが世界中から注目され、期待されています。 とんでもない経歴の研究者2人が、日本を拠点にして最先端のAI開発をするなんて嬉しいですね! こういったニュースをきっかけに、日本でAIに関する土壌が育っていってほしいですし、世界に発信していける国になっていきたいですね。 感想をX(旧Twitter)でポストしていただけると嬉しいです。メンションも大歓迎です! |
Sakana AIとは:世界的AI研究者が集結した日本発スタートアップ

Sakana AIは、2023年7月に東京で設立された生成AI技術の研究開発を行うスタートアップです。創業メンバーには、Google出身の著名なAI研究者であるライアン・ジョーンズ氏(CTO)とデイビッド・ハ氏(CEO)、そして日本人起業家の伊藤錬氏(COO)が名を連ねています。
ジョーンズ氏は、現在の生成AIの基盤となった「トランスフォーマー」モデルの開発に携わった人物として知られています。一方、ハ氏は元GoogleブレインTokyo チームリーダーであり、スタビリティAI(Stability AI)の研究トップも務めた実力者です。
Sakana AIは、設立当初から大きな注目を集めており、その理由は創業メンバーの経歴だけではありません。彼らは、日本国内外で多くの経験を積んできたため、国際的な視野を持って事業を展開しています。
特に、日本市場へのアプローチには独自の視点があり、日本特有の文化やニーズに応える製品開発を重視しています。このような背景から、Sakana AIは単なるスタートアップではなく、日本を代表するAI企業へと成長する可能性を秘めています。
また、Sakana AIは日本国内での研究開発だけでなく、国際的なコラボレーションにも力を入れています。これにより、最新の技術や情報を迅速に取り入れることができ、市場競争力を高めています。
さらに、彼らは若手研究者やエンジニアに対しても多くの機会を提供し、新しい才能を育成することにも注力しています。このような活動が相まって、Sakana AIは急速に成長し続けることができているのです。
急成長の軌跡:1年余りでユニコーン企業へ
Sakana AIの成長スピードは驚異的です。設立からわずか1年余りで、企業価値が10億ドル(約1450億円)を超え、ユニコーン企業の仲間入りを果たしました。これは日本企業としては最速の達成であり、世界的に見ても稀有な例といえます。この急成長にはいくつかの要因がありますが、その中でも特筆すべきは資金調達能力です。
2024年1月には、NTTなどから約45億円の資金調達に成功しました。この資金調達は、日本国内外から多くの投資家がSakana AIに寄せる期待感を示しています。さらに同年9月には、半導体大手NVIDIA(エヌビディア)を含む投資家から約200億円の追加投資を受けています。このような大規模な資金調達は、新興企業としては非常に珍しく、その背景にはSakana AIが持つ技術力と市場への影響力があります。
また、三菱UFJフィナンシャル・グループなど国内大手10社からも総額約100億円の出資を受けており、このような支援体制がさらなる成長を後押ししています。これらの投資は単なる資金提供だけではなく、パートナーシップとしても機能し、新しいプロジェクトや共同研究など、多岐にわたる協力関係が築かれています。
このように国内外の大手企業が競うようにSakana AIへの投資を行っている背景には、同社の技術力と将来性への大きな期待があります。特に、日本市場だけでなく国際市場でも通用する技術開発とビジネスモデルが評価されています。その結果、Sakana AIは今後もさらなる成長が期待される企業として注目されています。
Sakana AIの革新的技術:「小さな魚」が集まって大きな力に
Sakana AIが注目を集める最大の理由は、その革新的な技術開発アプローチにあります。同社は、生物の模倣(バイオミミクリー)に基づいた柔軟で適応性の高いAIモデルの開発を目指しています。
具体的には、「マルチエージェントAI」と呼ばれる手法を採用しています。これは、多数の小規模なAIモデルを協調させることで、高性能なシステムを構築するというアプローチです。
この手法では、小さな魚たちが群れになって大きな力を生み出すように、それぞれ異なる役割や機能を持つ小規模モデルが連携して動作します。このアプローチによって、高度な知能を実現しつつも、大規模言語モデル(LLM)開発で課題となる膨大な計算リソースや電力消費といった問題への新たな解決策を提示しています。
さらに、このマルチエージェントシステムは柔軟性にも優れており、新しいデータや状況に迅速に適応できるため、多様な用途への応用が可能です。例えば、自動運転車や医療診断システムなど、多岐にわたる分野で活用される可能性があります。また、この技術によって生成される結果は、高度な精度と信頼性を兼ね備えており、多くの業界関係者から高い評価を受けています。
加えて、Sakana AIはこの技術を基盤として新しい製品やサービスも展開しています。これによって市場競争力がさらに強化されており、新しい顧客層へのアプローチも実現しています。この革新性こそが、Sakana AIが急速に成長する要因となっています。
日本を選んだ理由:文化的多様性とAI人材の確保
世界中どこでも拠点を置ける著名なAI研究者たちが、なぜ日本を選んだのでしょうか。その理由としていくつかの要因が考えられます。まず、日本独自の著作権法があります。この法律は、特にAI学習における著作権について比較的柔軟であるため、新しい技術開発やデータ収集が行いやすい環境となっています。
次に、日本国内では世界的に不足している優秀なAI人材を比較的コスト効率よく採用できる点も挙げられます。日本には多くの大学や研究機関があり、高度な教育を受けた人材が多数存在します。
また、日本文化への理解と興味から、多様性豊かなチーム作りも可能です。このような環境下では、多様な視点やアイデアが生まれ、それが新しいイノベーションにつながります。
さらに、日本市場そのものにも魅力があります。消費者行動やビジネス慣行には独自性がありますので、それらに特化した製品やサービス開発への挑戦も可能です。また、日本国内では先進的なテクノロジーへの関心も高く、新しい製品やサービスへの受容度も高いと言えます。このため、日本市場で成功することは国際市場でも通用する証明ともなるでしょう。
最後に創業メンバー自身が日本文化や生活様式に魅力を感じていたことも大きいです。このような背景から、Sakana AIは単なるビジネス拠点としてだけではなく、日本社会との共生も重視した戦略的展開を行っています。
Sakana AIの今後:日本発のAI革命を目指して
Sakana AIは今後も革新的な技術開発を続けながら、日本のAI産業全体への貢献にも注力していく方針です。同社は米中で二極化しつつあるグローバルなAI界隈で、日本から新たな潮流を生み出したいと考えています。そのためには、日本国内外との連携強化や新たなパートナーシップ構築が不可欠です。
具体的には、日本企業との共同研究やプロジェクト推進によって、自社技術と他社技術とのシナジー効果を狙っています。また、自社主催によるイベントやハッカソンなども計画しており、新しいアイデアや才能との出会いによってさらなるイノベーション創出につながることが期待されています。
加えて、日本市場向けだけでなく国際市場でも通用する製品開発にも注力しています。「EvoSDXL-JP」という日本語対応高速画像生成モデルなど、市場ニーズに応じた製品展開によって競争優位性も強化されています。このような取り組みは、日本国内だけでなく海外市場でも評価されており、その結果として新たな顧客層獲得につながっています。
さらに、Sakana AIは教育機関との連携にも積極的です。大学との共同プログラムやインターンシップ制度など、人材育成にも貢献することで、日本全体としての技術レベル向上にも寄与しています。このように多角的なアプローチによって、Sakana AIは今後ますますその存在感を増していくことでしょう。
まとめ
Sakana AIは、世界的に著名なAI研究者たちが日本で立ち上げた新興企業として、わずか1年余りで日本最速のユニコーン企業となりました。その革新的な技術開発アプローチと、日本独自の強みを活かしたビジネス戦略が国内外から大型投資を呼び込んでいます。
今後もSakana AIが日本のAI産業全体へ貢献しつつ、新しい潮流とイノベーション創出につながることが期待されています。日本発のAI革命という可能性秘めたSakana AI、その今後に世界中が注目しています。