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| この記事の対象者 |
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| 効率化できる業務 |
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「正直、日報を書くためだけに残業している気がする……」 「商談の準備をしっかりやりたいけど、リサーチに時間がかかりすぎて手が回らない」
そんなふうに感じたことはありませんか?
私たち営業職の本分は、お客様と向き合い、課題を解決することです。しかし現実は、メール作成、議事録の要約、業界リサーチといった「準備と事務作業」に膨大な時間を奪われています。
もし、その時間が半分以下になったらどうでしょう? 空いた時間でもう1件アポに行けるかもしれないし、早く帰って家族との時間を過ごせるかもしれません。
この記事では、あなたの「優秀な副操縦士(コパイロット)」としてChatGPTを活用するための、今すぐコピペして使えるプロンプト(指示書)を20個厳選しました。AI特有の「きれいごと」ではなく、現場で本当に使える実践的なテクニックだけを紹介します。
ChatGPTは「最強の営業アシスタント」

まず誤解を恐れずに言いますが、AIは営業マンの代わりにはなれません。人の心を動かすのは、やはり人の熱意だからです。
しかし、「0から1を作る作業」や「大量の情報の整理」において、AIは人間を凌駕します。
- 白紙の状態からメールを書き始める5分
- 大量のIR資料から課題を探す30分
- 上司への報告メールをまとめる10分
これらをChatGPTに任せることで、あなたは「判断」や「対話」という、人間にしかできない高付加価値な業務に集中できるようになります。
では、具体的な活用シーンとプロンプトを見ていきましょう。
フェーズ1:【商談準備・リサーチ】顧客を「丸裸」にする
商談前のリサーチ、Google検索で上位から順に眺めていませんか? ChatGPTを使えば、企業の現状や業界の課題を一瞬で整理できます。
プロンプト1:3C分析のたたき台作成
まずは顧客を取り巻く環境をざっくり把握します。
プロンプト: あなたはプロの経営コンサルタントです。 【企業名:○○株式会社】について、以下の観点で3C分析を行い、箇条書きでまとめてください。
- Customer(市場・顧客):ターゲット層や市場のトレンド
- Competitor(競合):主な競合他社とその特徴
- Company(自社):この企業の強みや独自性
プロンプト2:有価証券報告書からの課題抽出
上場企業の場合、IR情報は宝の山ですが、読むのが大変です。テキストを貼り付けて分析させましょう。
※注:ChatGPT PlusなどのWebブラウジング機能を使うか、テキストをコピペしてください。
プロンプト: 以下のテキストは【企業名】の有価証券報告書の「事業の課題」部分です。 この内容を読み込み、この企業が今、最も投資しようとしている領域と、解決したい経営課題を3つ抽出してください。営業提案の切り口にしたいので、わかりやすく要約してください。
[ここにテキストを貼り付け]
プロンプト3:ニュースからの話題収集
アイスブレイクのネタ探しに。
プロンプト: 【業界名:物流業界】における、ここ3ヶ月の重要なニュースやトレンドを5つ挙げてください。また、それが現場の物流担当者にどのような悩み(ペインポイント)を与えているか、仮説を立ててください。
プロンプト4:SWOT分析で攻め所を探る
プロンプト: 【企業名】のSWOT分析を行ってください。特に「Threat(脅威)」と「Weakness(弱み)」に焦点を当て、そこに当社のような【自社サービス:人材研修サービス】が入り込む余地があるか、具体的な提案仮説を2つ作成してください。
プロンプト5:担当者ペルソナの想像
プロンプト: 私はSaaSツールの営業です。商談相手は「従業員300名規模の製造業の情シス部長(50代男性)」です。彼が抱えていそうな業務上の悩み、KPI、個人的な感情(変化への抵抗感など)を想像し、ペルソナとして書き出してください。
フェーズ2:【アプローチ・メール】開封率を上げる「刺さる」文章術
「お世話になっております」から書き始めて、何度も消しては書いて……。その悩み、AIに構成案を作らせれば解決します。
プロンプト6:PASフレームワークでのコールドメール
心理学に基づいた構成で、読み手の行動を促します。
プロンプト: あなたはトップセールスです。以下の条件で、新規開拓メールの文面を作成してください。
- フレームワーク: PAS法(Problem:問題提起、Agitation:煽り・共感、Solution:解決策)を使うこと。
- ターゲット: 採用担当者
- 売り込み商材: 採用動画制作サービス
- トーン: 押し売り感を出さず、相手の悩みに寄り添う丁寧な文体で。
プロンプト7:返信がない相手への「追撃メール」
しつこく思われずに、相手の状況を気遣う絶妙なラインを狙います。
プロンプト: 1週間前に資料を送付したお客様から返信がありません。 「お忙しいところ恐縮ですが」というニュアンスを込めつつ、Yes/Noだけでも返信が欲しくなるような、短く礼儀正しいフォローアップメールを作成してください。件名は開封したくなる工夫をしてください。
プロンプト8:アポイント打診のバリエーション
プロンプト: 来週以降でアポイントを取りたいのですが、候補日時を提示する際のメール文面を3パターン作成してください。
- ストレートに日時を指定するパターン
- 相手の都合を優先する柔らかいパターン
- 「15分だけ」とハードルを下げるパターン
プロンプト9:セミナー/ウェビナーへの招待
プロンプト: 既存顧客向けに、新製品発表のウェビナー招待メールを作成してください。 「参加しないと損をする」と思わせるようなベネフィット(利益)を3箇条書きで強調し、最後に申し込みURLへの誘導をスムーズに配置してください。
プロンプト10:クレーム・謝罪メールの一次案
冷静になれない時こそ、AIに冷静な文章を作ってもらいます。
プロンプト: 納品が遅延してしまい、顧客にお詫びをする必要があります。 以下の事実に基づき、誠実で言い訳がましくない謝罪メールを作成してください。
- 事実:システム障害により納期が2日遅れる。
- 対策:現在は復旧済み。再発防止策としてサーバーを増強した。
- 補償:次回の利用料を5%割引する。
フェーズ3:【商談・ロープレ】AI相手に「壁打ち」して勝率アップ
商談本番で「想定外の質問」に固まってしまった経験はありませんか? ChatGPTを「仮想の顧客」に見立てて、模擬戦を行いましょう。
プロンプト11:想定される反論(オブジェクション)の洗い出し
プロンプト: 私は【商材:月額2万円の勤怠管理クラウド】を営業しています。 顧客から出てきそうな「断り文句」や「懸念点」を10個リストアップしてください。特に、価格面と導入の手間に関する厳しい指摘をお願いします。
プロンプト12:反論処理トークスクリプトの作成
プロンプト: 上記で挙げてもらった「今は予算がない」という断り文句に対して、顧客が「なるほど、それなら検討してみようか」と思えるような切り返しトークを3パターン作成してください。
- コスト削減効果で訴求するパターン
- 導入しないことのリスクを伝えるパターン
- スモールスタートを提案するパターン
プロンプト13:ロールプレイング(AIが顧客役)
これが最も強力な使い方の一つです。
プロンプト: これから模擬商談を行います。あなたは「導入に慎重な経理課長」になりきって会話してください。 私が提案を行いますので、それに対して少し意地悪な質問や、現場視点での鋭いツッコミを入れてください。一度に長く話さず、会話のキャッチボール形式で進めます。準備はいいですか?
プロンプト14:商談の振り返りとフィードバック
ロープレが終わったら、評価してもらいましょう。
プロンプト: 今のロープレでの私の営業トークについて、良かった点と改善点をフィードバックしてください。特に、あなたの「決裁」を得るためには、あと何が足りなかったか具体的に教えてください。
プロンプト15:キラーフレーズの作成
プロンプト: 商談のクロージングで背中を押すための「キラーフレーズ」を5つ考えてください。 相手は「必要性はわかっているが、今のやり方を変えるのが面倒」と感じています。現状維持バイアスを打破するような、インパクトのある一言をお願いします。
フェーズ4:【事務処理・タスク管理】面倒な作業を秒速で片付ける
営業マンは事務員ではありません。報告業務や整理整頓はAIに任せて、外に出ましょう。
プロンプト16:乱雑なメモから議事録作成
プロンプト: 以下は商談中の走り書きメモです。これを整理して、「決定事項」「保留事項」「Next Action(誰がいつまでに何をやるか)」が明確な議事録形式にまとめてください。 [ここにメモを貼り付け]
プロンプト17:日報の自動生成
プロンプト: 今日の活動内容は以下の通りです。これを上司に報告するための簡潔な日報フォーマットに変換してください。
- A社:次回アポ取得。感触よし。
- B社:担当者不在、資料送付済み。
- C社:クレーム対応、解決済み。
- 所感:全体的にアポ率が上がってきた。
プロンプト18:ToDoリストの優先順位付け
プロンプト: 今抱えているタスクが多すぎてパニックです。以下のタスクリストを、「緊急度」と「重要度」のマトリクスで整理し、今日絶対やるべき3つのタスクを提案してください。 [タスクリストを貼り付け]
プロンプト19:会議のアジェンダ(進行案)作成
プロンプト: 来週、営業チームで「売上目標未達の対策会議」を1時間行います。 建設的な議論ができ、具体的なアクションプランが決まるような会議のアジェンダ(時間配分付き)を作成してください。
プロンプト20:モチベーション管理(壁打ち)
プロンプト: 今月、目標達成が厳しく、精神的に少し辛いです。 優秀なメンターとして、現状を打破するためのポジティブなマインドセットや、明日からできる小さな行動変容のアドバイスをください。
注意点:AIを過信せず「人間の目」を入れる
ここまで便利なプロンプトを紹介してきましたが、最後に一つだけ、絶対に守ってほしいルールがあります。
それは、「AIのアウトプットをそのまま鵜呑みにしない」ということです。
AIは時として、息を吐くように嘘をつきます(これを「ハルシネーション」と呼びます)。存在しないURLを捏造したり、間違った数値を自信満々に提示したりすることがあります。
【営業活用における3つの鉄則】
- 機密情報は入れない: 顧客の個人情報や、未公開の売上データなどをそのまま入力してはいけません。企業名は「A社」、個人名は「Bさん」のように匿名化するのが基本です。
- ファクトチェックは必須: 特にリサーチ系のプロンプトで出てきた数値やニュースは、必ず一次ソース(元のWebサイトなど)を確認してください。AIの情報をそのまま顧客に伝えて間違っていた場合、失うのはAIの信頼ではなく、あなたの信頼です。
- 「体温」を入れる: AIが書いたメールは、どこか冷たく、整いすぎています。最後に必ずあなた自身の言葉で、相手への気遣いや熱意を付け加えてください。それが「人間らしさ」となり、差別化につながります。
まとめ:AIは「サボる」ためではなく「成果」のためにある
ChatGPTを使う目的は、単に楽をするためではありません。事務作業やリサーチにかかる時間を極限まで圧縮し、空いたリソースを「顧客との対話」や「創造的な提案」に全振りするためです。
まずは今回紹介した20個の中から、一番苦手な業務に関するプロンプトを1つだけ試してみてください。 「あれ、こんなに簡単なの?」と驚くはずです。その小さな驚きが、あなたの営業スタイルを大きく変革する第一歩になります。
さあ、AIという最強のパートナーと共に、次の商談へ向かいましょう!
