
オンラインデザインプラットフォームの大手Canvaが、1900万人以上のユーザーを抱えるAI画像生成サービス「Leonardo.ai(レオナルドAI)」を買収しました。
この戦略的な動きにより、Canva(キャンバ)のデザイン機能が大幅に強化され、AIを活用したクリエイティブ制作の新時代が幕を開けることが期待されています。
AROUSAL Techの代表を務めている佐藤(@ai_satotaku)です。 CanvaのLeonardo.ai買収は、とても驚愕で、双方の1ユーザーとしてとても素晴らしい展開だと思っています。 Leonardo.aiというのは、MidjourneyやStable Diffusionと同等の画像生成AIツールであり、そのレベルの画像生成技術がCanvaで簡単に使え、デザイン作成に反映できるようになるというのは非常に革新的です。 「誰でも簡単に高精度の画像、デザインが作れる」というのが、もう目の前にある状態です。 Canvaに搭載されているAI機能はまだまだ優秀ではない印象でしたが、どうやらそれも終わりかもしれません。 これは早く使ってみたいですね! 感想をX(旧Twitter)でポストしていただけると嬉しいです。メンションも大歓迎です! |
Canvaの成長戦略とLeonardo.ai買収の背景

Canvaは2013年の設立以来、「誰もがデザインできるようにする」というミッションのもと、ウェブブラウザ上で簡単にバナーやSNS用の画像を制作できるサービスとして急成長してきました。
2023年には独自のAI画像生成機能「Magic Studio」を導入し、さらなるユーザー数の増加を実現しました2023年の年間収益は21億ドル(約3300億円)を超え、2024年7月時点で月間アクティブユーザー数は1億8000万人に達しています。
一方、Leonardo.aiは2022年にオーストラリアで設立された新興企業で、広告やファッション、建築などの業界向けに特化したAI画像生成サービスを提供しています。
同社の特徴は、テキストプロンプトとユーザーのスケッチを組み合わせて、リアルタイムで写実的な画像を生成できる点にあります。
サービス開始以来、Leonardo.aiは着実に成長を続け、1900万人以上のユーザーを獲得し、これまでに10億枚以上の画像を生成してきました。
Canvaによるこの買収は、AIテクノロジーの急速な進化と、デザイン業界におけるAIの重要性の高まりを反映しています。
Canvaは、Leonardo.aiの先進的な技術を取り込むことで、自社のAI機能を強化し、より多様で高品質なデザインソリューションをユーザーに提供することを目指しています。
統合後のサービス展開と期待される相乗効果
買収に伴い、Leonardo.aiの技術がCanvaのMagic Studioに統合されることが発表されています。
Canvaの共同創業者兼最高製品責任者であるキャメロン・アダムス氏は、この統合により既存のMagic Studioツールがさらに強化されるだけでなく、Leonardo.aiのモデルを活用した新しい生成AI機能がCanvaに直接導入される可能性があると述べています。
具体的には、Canvaのワークフローと新しい生成機能を組み合わせることで、Leonardo.aiの製品を使用しつつ、Canvaを利用するチームや企業に新たな成長の機会を提供することが期待されています。
この相乗効果により、ユーザーはより高度で効率的なデザイン制作が可能になり、クリエイティブな表現の幅が大きく広がると考えられます。
また、Leonardo.aiの独立性も維持されることが明らかにされており、同社は引き続き独立したプラットフォームとして運営されます。
これにより、既存のLeonardo.aiユーザーは、これまでと同じプランと価格でサービスを利用し続けることができます。
デザイン業界への影響と競合他社の動向
Canvaによるこの買収は、デザイン業界全体に大きな影響を与える可能性があります。
AI技術の導入により、プロのデザイナーだけでなく、一般ユーザーも高品質なデザインを簡単に作成できるようになることが予想されます。
これは、デザインの民主化をさらに推し進める一方で、プロのデザイナーの役割や価値にも変化をもたらす可能性があります。
競合他社もこの動きに対応して自社のAI機能を強化する動きを見せています。
例えば、AdobeはFireflyを活用したPDF編集機能やAcrobat AI Assistantを導入し、複数のドキュメントを分析する機能をリリースしています。
また、Affinity(アフィニティ)などの代替ツールも、無料試用期間の延長などの施策を打ち出し、ユーザー獲得に力を入れています。
このような競争の激化は、ユーザーにとってはより多様で高機能なツールの選択肢が増えることを意味し、デザイン業界全体の技術革新を加速させる可能性があります。
ユーザーへの影響と今後のサービス展開
Canvaユーザーにとって、この買収は大きなメリットをもたらすと考えられます。
Leonardo.aiの高度なAI画像生成技術が統合されることで、より多様で高品質な画像やデザインを簡単に作成できるようになる可能性があります。
特に、テキストとスケッチの両方のプロンプトを使用した画像生成機能は、ユーザーの創造性をさらに引き出すツールとなるでしょう。
一方、Leonardo.aiのユーザーにとっては、Canvaの豊富なリソースとグローバルなプラットフォームを活用できるようになることが期待されます。
ただし、サービスの独立性が維持されるため、急激な変更や機能の制限などの心配はないと思われます。
今後のサービス展開については、Canvaの既存のデザインツールとLeonardo.aiのAI技術を組み合わせた新しい機能や、より直感的で効率的なワークフローの開発が予想されます。
また、企業向けのソリューションも強化され、大規模なチームや組織でのデザイン制作プロセスがさらに効率化される可能性があります。
AI倫理と著作権問題への対応
AI画像生成技術の発展に伴い、倫理的な問題や著作権の問題も浮上しています。
例えば、AIが生成した画像の著作権帰属や、既存の作品を学習データとして使用することの是非などが議論されています。
Canvaは、この買収を機にAI倫理や著作権問題にも積極的に取り組む姿勢を示しています。
具体的な対策としては、AIが生成した画像に「AI製」というラベルを付けるなど、透明性を確保する取り組みが考えられます。
また、ユーザーが自身の作品をAIの学習データとして提供するかどうかを選択できるオプションを設けるなど、クリエイターの権利を尊重する施策も検討されるでしょう。
これらの取り組みは、AI技術の健全な発展と、クリエイティブ産業の持続可能な成長を両立させるために重要な役割を果たすと考えられます。
Canvaが業界のリーダーとして、これらの課題に対して積極的に取り組むことで、AI画像生成技術の社会的受容性が高まることが期待されます。
まとめ
CanvaによるLeonardo.aiの買収は、デザイン業界におけるAI技術の重要性を改めて示す出来事となりました。
この戦略的な動きにより、CanvaのAI機能が大幅に強化され、ユーザーはより高度で効率的なデザイン制作が可能になると期待されています。
一方で、AI倫理や著作権問題への対応など、新たな課題にも直面することになります。
今後、Canvaがこれらの課題にどのように取り組み、AIを活用したクリエイティブ制作の新時代をリードしていくのか、業界全体が注目しています。