
この記事でわかること | プロンプトが回答品質を左右する理由 高品質なプロンプトの基本構成(役割・文脈・指示・制約・出力形式) 明日から使える具体プロンプト文例10選 応用テク(ステップ分解・Few-shot・CoT・自己批判・深津式) よくある失敗と回避法 |
---|---|
対象者 | ChatGPTの精度を上げたいビジネスパーソン 社内資料や企画の下書きを素早く作りたい人 プロンプト設計の基本〜応用を体系的に学びたい人 |
期待できる効果 | 当たり障りない回答から脱却できる 短時間で再現性の高いアウトプットが得られる 業務別にそのまま使える定型文を運用できる |
「ChatGPT、便利だって聞くけど、なんだか当たり障りのない答えしか返ってこないな…」 「もっとこう、ビシッと的確で、仕事の役に立つ回答を引き出せないものか…」
もしあなたが今、そう感じているなら、それは非常にもったいない!ChatGPTの性能が低いのではなく、その能力を最大限に引き出すための「呪文」、つまりプロンプトが少しだけ足りていないだけかもしれません。
こんにちは!AIと共に働くのが当たり前になったこの時代に、日々どうすればAIともっと仲良くなれるか研究しているWebライターのAIサポーターです。
実は、ChatGPTは「聞き方」次第で、その賢さが天と地ほど変わるんです。まるで、入社したての新人スタッフに指示を出す場面を想像してみてください。曖昧な指示では戸惑わせてしまいますが、的確な指示があれば、彼らは驚くべきパフォーマンスを発揮してくれますよね。それと全く同じなんです。
この記事では、あなたのChatGPTを「指示待ちの新人」から「超優秀なビジネスパートナー」へと変貌させるための、プロンプトエンジニアリングの技術を、基本のキから、思わず唸るような応用技、そして明日からコピペで使える具体的な文例まで、出し惜しみなくご紹介します。
この記事を読み終える頃には、きっとあなたも「AIを使いこなしている」と実感できるようになっているはず。さあ、一緒に“AI職人”への扉を開けてみませんか?
AROUSAL Techの代表を務めている佐藤(@ai_satotaku)です。 そうですか、OpenAIがChatGPTを発表してからもう2年が経ってしまいそうですね。一応、生成AIというものが世に出始めた当初から最前線で情報をキャッチアップしていますが、たった2年ですごいところまで進化してしまっています。 そして、生成AIの技術がまだまだ進化を続けているのと同時に、プロンプトに関する技術や知見もどんどん蓄積され、進化を続けています。昔のモデルを使用していても、プロンプトを十分に活用することで現在のモデルの性能を超えることができるという研究も発表されています。 それほどまでにプロンプトという技術は重要です。プロンプトについての学びも終わることはありませんので、この記事でプロンプトについて再度学ぶきっかけになっていただけたら嬉しいです。 感想をX(旧Twitter)でポストしていただけると嬉しいです。メンションも大歓迎です! |
なぜあなたのChatGPTは“イマイチ”なのか?プロンプトが鍵を握る3つの理由
「AIなんだから、こっちの意図くらい察してよ!」なんて思いたくなる気持ち、すごくよく分かります。でも、彼らが最高のパフォーマンスを発揮するには、私たちが少しだけ歩み寄る必要があるんです。その鍵こそがプロンプト。では、なぜプロンプトがそれほどまでに重要なのでしょうか?
理由1:AIは「察して」くれない〜指示の具体性が品質を左右する〜
まず、大前提としてAIは人間のように「空気を読む」とか「行間を読む」といったことが苦手です。私たちが当たり前だと思っている背景知識や文脈も、伝えてあげなければ理解できません。
例えば、「面白い企画を考えて」とだけ伝えるのと、「20代女性向けの新しいスキンケア商品の発売キャンペーンで、Instagramで話題になるような面白い企画を3つ考えて」と伝えるのでは、出てくる回答の解像度が全く違います。
つまり、指示は具体的であればあるほど、AIは私たちの期待に応えやすくなるのです。これは、AIとのコミュニケーションにおける最も基本的で、最も重要なルールと言えるでしょう。
理由2:ゴミを入れたらゴミが出てくる?情報の質と量の重要性
これはコンピュータサイエンスの世界で古くから言われている「Garbage In, Garbage Out(ゴミを入れたらゴミが出てくる)」という言葉そのものです。
プロンプトに含める情報の質が低かったり、必要な情報が欠けていたりすると、AIもまた質の低い、あるいは見当違いの回答しか生成できません。逆に、高品質で十分な量の情報を与えれば、AIはそれを元に驚くほど的確なアウトプットを出してくれます。
あなたの持っている情報や悩み、背景を、少しだけ丁寧にプロンプトに込めてみてください。それだけで、ChatGPTの反応は劇的に変わるはずです。
理由3:対話のキャッチボールがAIを育てる
ChatGPTとのやり取りは、一度きりの命令で終わりではありません。むしろ、対話のキャッチボールを楽しむことこそが、AIを育てる秘訣なんです。
最初に出てきた回答が完璧でなくても、ガッカリする必要はありません。「その方向性は良いね。じゃあ、もう少しターゲットを絞って考えてみて」とか「そのアイデアは面白いけど、予算的に厳しいから別の案をお願い」といったように、フィードバックを与えながら対話を続けてみてください。
このプロセスを通じて、AIはあなたの好みや思考のパターンを学習し、どんどんあなた専用の優秀なアシスタントへと成長していくのです。
これだけは押さえたい!高品質な回答を生むプロンプトの基本構成要素
では、具体的に「良いプロンプト」とは何なのでしょうか?難しく考える必要はありません。いくつかの「型」を知っておくだけで、誰でも簡単に質の高いプロンプトが作れるようになります。ここでは、特に重要な5つの構成要素をご紹介します。
【役割】を与える:あなたは「伝説のマーケター」だ!
AIに特定の専門家やキャラクターになりきってもらう手法です。これにより、AIの回答の視点やトーンが固定され、より専門的で一貫性のあるアウトプットが期待できます。
悪い例
新商品のキャッチコピーを考えて。
良い例
あなたは、数々のヒット商品を生み出してきた伝説のマーケターです。今回発売する「働く女性向けの栄養ドリンク」のキャッチコピーを、ターゲットの心に突き刺さるような言葉で5つ提案してください。
【文脈】を伝える:背景情報でAIの理解度を深める
あなたがどのような状況で、何を解決したいのか、その背景を伝えることで、AIはより深くあなたの意図を理解し、的確な回答を生成しやすくなります。
悪い例
議事録を要約して。
良い例
以下の議事録は、新プロジェクトのキックオフミーティングのものです。特に「決定事項」と「今後のタスク(担当者と期限も含む)」が明確に分かるように、箇条書きで要約してください。
(ここに議事録のテキストを貼り付け)
【指示】を明確にする:何を、どのように、どれくらい?
AIに何をしてほしいのか、そのアクションを明確に、そして具体的に指示します。「分析して」「考えて」といった曖昧な言葉ではなく、「比較して」「リストアップして」「分類して」など、具体的な動詞を使うのがコツです。
悪い例
競合サービスについて教えて。
良い例
競合サービスであるA社とB社のサービスについて、「料金」「主な機能」「ターゲット顧客」の3つの観点から比較し、その結果を表形式でまとめてください。
【制約】で思考をコントロール:箇条書きで、300字以内で
回答に特定の制約を設けることで、アウトプットの質をコントロールできます。文字数、キーワード、トーン、盛り込むべき要素などを指定することで、AIが思考する範囲を限定し、より望んだ形に近い回答を得ることができます。
悪い例
この文章を分かりやすくして。
良い例
以下の文章を、専門用語を使わずに、中学生にも理解できるように300字以内で書き直してください。ただし、「イノベーション」「シナジー」という言葉は使わないでください。
【出力形式】を指定する:表形式、Markdown、JSONなど
最後に、どのような形式で回答を出力してほしいかを指定します。これにより、後工程での作業が格段に楽になります。企画書にそのまま貼り付けたいなら箇条書きや表形式、システムに組み込みたいならJSON形式など、用途に合わせて指定しましょう。
悪い例
5つのアイデアを出して。
良い例
5つのアイデアを、以下のMarkdown形式の表で出力してください。
アイデア番号 アイデア名 概要 Google スプレッドシートにエクスポート
“AI職人”への道!回答精度を劇的に高める応用テクニック5選
基本を押さええたら、次は一歩進んだ応用テクニックです。これらを使いこなせば、あなたのプロンプトはさらに洗練され、ChatGPTはまるであなたの心を見透かしたかのような回答を返してくれるようになるでしょう。
テクニック1:ステップ・バイ・ステップ思考で複雑なタスクを分解
一度に複雑なお願いをするのではなく、タスクを小さなステップに分解して、一つずつ順番に処理させる方法です。これにより、AIは混乱することなく、一つ一つのタスクに集中できるため、最終的なアウトプットの質が劇的に向上します。
プロンプト例
新規事業の計画書を作成したい。まずは、市場調査から始めよう。日本のウェルネス市場における最新のトレンドを5つ、信頼できる情報源へのリンクと共にリストアップして。
テクニック2:Few-shotプロンプティングでAIにお手本を見せる
AIにいくつかの「例(手本)」を見せてあげることで、AIはあなたがどのような回答を求めているのかを具体的に学習し、そのパターンに沿った回答を生成してくれるようになります。
プロンプト例
以下のような、顧客からの問い合わせメールに対する返信文を作成します。例を参考に、新しい問い合わせに対する返信文を作成してください。
例1) 問い合わせ:「商品の在庫はありますか?」 返信:「お問い合わせありがとうございます。〇〇の在庫はございますので、ご安心ください。」
例2) 問い合わせ:「送料はいくらですか?」 返信:「お問い合わせありがとうございます。送料は全国一律500円でございます。」
新しい問い合わせ 「商品の使い方を教えてください。」
作成してほしい返信文:
テクニック3:CoT(Chain of Thought)プロンプティングで思考の過程を説明させる
「思考の連鎖」を促す、少し高度なテクニックです。AIに結論だけを求めず、「どのようにその結論に至ったのか」という思考プロセスを説明させることで、回答の論理的な正確性を高めることができます。特に、複雑な計算や論理的な推論が必要な場合に有効です。
プロンプト例
問題:ある店舗の売上は、先月より10%増加し、今月は55万円でした。先月の売上はいくらでしたか?
結論だけではなく、どのように計算したのか、思考のプロセスをステップ・バイ・ステップで説明してください。
テクニック4:自己批判プロンプトで回答の穴をAI自身に探させる
一度AIが生成した回答に対して、「その回答に何か問題点や改善点はありますか?」と問いかけ、AI自身に自己評価させるテクニックです。これにより、多角的な視点から回答をレビューさせることができ、より客観的で質の高いアウトプットに磨き上げることができます。
プロンプト例
(AIが生成した事業計画案に対して)
ありがとう。非常に興味深い計画案だね。 では、あなたが提案してくれたこの事業計画案について、潜在的なリスクや考慮漏れの可能性がある点を、批判的な視点から3つ挙げてください。
テクニック5:深津式プロンプトで汎用性と精度を両立する
日本の著名なAI研究者である深津貴之氏が提唱した、非常に汎用性が高く強力なプロンプトのテンプレートです。役割、入力、出力、制約条件などを体系的に記述することで、AIの能力を安定して引き出すことができます。
プロンプト例(テンプレート)
#命令書 あなたは〇〇です。以下の制約条件と入力文をもとに、最高の〇〇を出力してください。
#制約条件 ・文字数は〇〇字程度。 ・〇〇というキーワードを必ず含める。 ・読者層は〇〇を想定する。
#入力文 (ここに文章や指示を入力)
#出力文 (ここにAIに出力してほしい内容を記述)
【コピペOK】明日から使える!業務別ChatGPTプロンプト文例集10選
お待たせしました!ここでは、様々なビジネスシーンでそのまま使えるプロンプト文例をご紹介します。ぜひコピーして、あなたの業務に合わせて少しカスタマイズして使ってみてください。
文例1:マーケティング施策のアイデア出し
あなたは経験豊富なBtoBマーケターです。 当社は中小企業向けに新しい勤怠管理SaaSを開発しました。 このサービスの認知度を向上させ、リード獲得につなげるための、斬新なマーケティング施策のアイデアを5つ提案してください。 以下の形式でお願いします。
- 施策名
- ターゲット
- 具体的な内容
- 期待される効果
文例2:ブログ記事の構成案作成
あなたはSEOに精通したコンテンツマーケターです。 以下のキーワードで検索上位を目指すためのブログ記事の構成案を作成してください。
#キーワード 「プロンプトエンジニアリング 初心者」
#想定読者 ChatGPTを使い始めたばかりのビジネスパーソン
#構成案に含める要素 ・読者の悩みに共感する導入 ・H2、H3の見出し構造 ・各見出しで解説する内容の要点 ・読者の行動を促すまとめ
文例3:SNS投稿文の作成(X, Instagram)
あなたは若者のトレンドに詳しいSNSマーケターです。 新発売の「フルーツフレーバーの炭酸水」について、X(旧Twitter)とInstagramで投稿する文章をそれぞれ作成してください。
#商品の特徴 ・人工甘味料不使用 ・微炭酸で飲みやすい ・カラフルでおしゃれなパッケージ
#投稿の条件 ・親しみやすい、少し砕けた口調で ・絵文字を効果的に使う ・ハッシュタグを5つ提案する
文例4:プレスリリースの草稿作成
あなたは広報・PRのプロフェッショナルです。 当社が開発したAI議事録作成ツール「オートノート」のβ版リリースに関するプレスリリースの草稿を作成してください。
#盛り込むべきポイント ・製品の概要(どんな課題を解決するのか) ・主な3つの機能 ・β版の提供期間と対象者 ・代表取締役のコメント ・会社の概要
文例5:議事録の要約とタスク洗い出し
#命令 以下の議事録を読み、決定事項と、発生したToDoをリストアップしてください。
#制約条件 ・決定事項は箇条書きで簡潔にまとめる。 ・ToDoは「担当者」「タスク内容」「期限」が分かるように、表形式で出力する。
#議事録 (ここに議事録のテキストを貼り付け)
文例6:お客様への謝罪メール作成
あなたはカスタマーサポートの熟練リーダーです。 商品の配送遅延について、お客様へお詫びするメールの文面を作成してください。
#状況 ・注文番号:12345 ・商品名:〇〇 ・原因:システムトラブルによる発送遅延 ・今後の対応:本日中に発送予定
#メール作成のポイント ・件名だけで謝罪と分かるようにする。 ・誠意が伝わる丁寧な言葉遣いを徹底する。 ・原因と今後の対応を明確に伝える。
文例7:Excel関数の作成依頼
あなたはExcelの達人です。 A列に商品名、B列に単価、C列に販売数が入っているシートがあります。 D列に、各商品の売上金額(単価 × 販売数)を計算して表示するExcel関数を作成してください。 また、もし販売数が空欄の場合は、売上金額も空欄になるようにしたいです。
文例8:新入社員向けの研修プログラム作成
あなたは人事部の研修担当者です。 IT企業に入社した新卒社員(職種:営業)向けの、最初の1ヶ月間で行う研修プログラムのスケジュール案を作成してください。
#研修の目的 ・ビジネスマナーの習得 ・自社製品の基礎知識の理解 ・営業としての心構えの形成
#出力形式 1週目から4週目まで、各週のテーマと具体的な研修内容が分かるようにリスト形式でお願いします。
文例9:複雑な文章の校正・リライト
あなたはプロの編集者です。 以下の文章を、誤字脱字のチェック、文法の修正、そしてより自然で分かりやすい表現へのリライトを行ってください。 修正箇所は、なぜそのように修正したのか理由も添えて説明してください。
#元の文章 (ここに校正したい文章を貼り付け)
文例10:キャリア相談の壁打ち相手
あなたは経験豊富なキャリアコンサルタントです。 私は現在、キャリアについて悩んでいます。あなたの質問に答える形で、私の思考の整理を手伝ってください。 まずは、私の現状についていくつか質問をしてください。
プロンプト作成でよくある失敗と、それを乗り越えるためのヒント
最後に、多くの人が陥りがちなプロンプトの失敗例と、その対策をご紹介します。
失敗例1:曖昧で抽象的な指示
「いい感じにして」「もっとクリエイティブに」といった指示は、人間同士でも解釈が分かれますよね。AIにとってはなおさらです。 対策: 可能な限り具体的な言葉で、完成形のイメージを伝えましょう。「いい感じに」ではなく、「温かみがあって、読者に寄り添うようなトーンで」のように具体化することが大切です。
失敗例2:一度に多くのことを聞きすぎる
一つのプロンプトに、あまりにも多くの質問や指示を詰め込むと、AIが混乱し、論点がぼやけた回答が返ってくることがあります。 対策: 複雑なタスクは、前述の「ステップ・バイ・ステップ思考」を使って分解しましょう。焦らず、一つずつ対話を重ねることが、結果的に質の高いアウトプットへの近道です。
失敗例3:AIの回答を鵜呑みにする
ChatGPTは非常に優秀ですが、時々、もっともらしい嘘をついたり(ハルシネーション)、情報が古かったりすることがあります。 対策: AIの回答は、あくまで「たたき台」や「壁打ちの相手」と捉え、最終的なファクトチェックや判断は必ず人間が行うようにしましょう。特に、統計データや専門的な情報を扱う際は注意が必要です。
まとめ:プロンプトを制する者は、AIを制す
いかがでしたでしょうか?
ChatGPTは、ただの検索エンジンや翻訳ツールではありません。私たちの「聞き方」次第で、優秀なブレーンストーミングの相手にも、腕利きのコピーライターにも、頼れる分析官にもなってくれる、無限の可能性を秘めたパートナーです。
今回ご紹介したプロンプトの基本と応用テクニックは、いわばAIとの絆を深めるためのコミュニケーション術。最初は少し面倒に感じるかもしれませんが、試行錯誤を繰り返すうちに、きっとあなただけの「魔法の呪文」が見つかるはずです。
大切なのは、完璧なプロンプトを一発で書こうとしないこと。AIとの対話を楽しみながら、少しずつ育てていく感覚で、ぜひ今日から試してみてください。
あなたのChatGPTライフが、今日からもっと創造的で、もっと刺激的なものになることを、心から願っています!